校長室便り_archive
校長室便り⑩
- 2024年01月15日
- 校長室便り_archive
第3学期 始業式での話
~能登半島の地震を念頭に防災への意識を高める~
生徒の皆さん。おはようございます。まず、はじめに生徒の皆さんに協力して欲しいことがあります。それは、今年の元日に発生した能登半島を中心とする地震において、被災され、命を落とされた方々、行方不明の方々、避難生活を余儀なくされている方々に対して、追悼の意と、救助、復興に向けた応援の意を込めて黙祷を捧げたいと思います。協力してください。(黙祷)
さて、地震といえば、皆さんは「外所(とんどころ)地震」という言葉を聞いたことがありますか。
1662年10月、今から約360年前に日向灘を震源とするマグニチュード7.6の地震のことです。
この地震で、宮崎市の木花地区を中心に宮崎県沿岸部全体が被災し、家屋の倒壊が約3800世帯、死者は約200名の被害を出しました。津波の高さは推定4~10mに達したと言われ、その影響等で7つの村が水没したと記録されています。青島と赤江海岸の間にあった島(外所島の集落)がすべて水没し、現在も海底に家屋の残骸が残っていると言われています。
この地震について、後世へ残すために、木花の運動公園の入口付近に、災害の伝承と供養のための石碑が7基建てられています。この石碑は、およそ50年ごとに、地域の方々の協力で建立されているそうです。その石碑には、「様々な犠牲を忘却することなく、大自然に対して畏敬の念をもつこと、防災の大切さを後世に伝えたいがため、この供養碑を建立する。」と刻まれています。
今回の地震や宮崎県で過去に起きた災害を教訓に、改めて防災について考える機会をもって欲しいと思います。
防災を考える上で大切なことはいくつかありますが、始業式に当たり、3つのことを整理しておきましょう。一つ目は、「正しい知識を得る」ということ、二つ目は「正しい情報を得る」ということ、三つ目は、「正しい行動をとる」ということです。これらの力は、特設の避難訓練や防災訓練で培われることもありますが、日頃の生活や学びから得られることがほとんどです。
「正しい知識」とは、例えば、密閉された空間の煙の充満の仕方がわかれば、自ずと口や鼻をハンカチ等で覆って、低い体勢で移動することに納得がいきます。日頃から正しい知識を得るよう心掛けておくことが大切です。
「正しい情報」とは、SNSや伝聞等から得られる情報などの、その正しさや信憑性について、常に考えることが大切です。災害が発生すると、情報が交錯したり、得られた情報を冷静に判断したりすることが難しくなると言われています。さらは正しい情報でも拡散してはいけない内容があることも意識しておかなくてはなりません。知りえた情報の根拠や公正性などについて、常に思考し判断することや知りえた情報をどう取り扱うのかを考えることが重要です。
「正しい行動」とは、災害発生時や避難行動をとる際には、迅速に行動すべきか、様子を見るべきか、大声で知らせるべきか、静かに聞き耳を立てて正確な情報を得るべきかなど、個人として判断が必要なのか、集団の一員として考える必要があるのかなど、自分の言葉や行動のバランスをその状況において判断することが要求されます。これらの行動は、特別な訓練等で培われるものだけでなく、日頃の学校生活や社会生活の中での状況判断で身についていくものです。
普段の生活の中で「知識・情報・行動」について、考えながら生活することが防災への一歩につながると考えます。
最後に、2学期の終業式の挨拶の際に、中学生や1,2年生には、「何か一つでいいので、新しいチャレンジをしてみてください。」という内容を話しました。新しい取り組みは進んでいますか。3学期は、あっという間に過ぎていきます。新たな取り組みを始めている人は、さらにそれを充実させて欲しいと思いますし、まだの人は、ぜひ、早めに取り組んで欲しいと思います。そのことは、次のステージ(学年)に向けての準備となっていいきます。
3年生には、これからまだ受験に向かう人もいますが、高等学校卒業まで2カ月を切った時にこそ、ここにいる中学生や高校1、2年生は、君たち3年生の言葉のみならず、その行動を見つめています。最後まで粘り強く受験に向かう姿、進路が決まっていてもさらに自分を高めようと学校生活を送る姿、自分のためだけでなく周囲のことを考えて過ごしている姿など、多くのことをここにいる後輩に伝えて欲しいと思いますし、卒業まで、残された高校生活がさらに充実したものとなるよう生活して欲しいと思います。
令和6年1月15日 校長 押 方 修