校長室便り_archive

校長室便り⑧

  • 2023年11月29日
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21世紀型学校教育へ向けて

先日、令和5年度の宮崎県私立学校教育研修会が開催され、演題『「変革」の時代に試される私立中学高等学校の教育』で平方邦行氏(一般社団法人日本私学教育研究所所長)の全体講演がありました。その中で、平方氏が特に熱弁されたのは「21世紀型学校教育」の実現を目指そうということでした。その後の分科会では、ICT機器を用いた実践授業の取組や生成AIの活用など、先端技術の活用と教育活動の在り方等を学ぶよい機会となりました。本学の教職員も10数名参加したところです。

さて、コロナ禍以前よりSociety5.0が提唱され、SDG’sが国連等で採択されたのもコロナ禍前のことですが、コロナ感染症の拡大は、世界や日本の在り方について、多くの課題を露わにする切っ掛けとなりました。さらには、発展し続けているICT機器等の技術革新にも拍車かけ、このことによるリモートワークの拡大や教育環境の変化などは、想像を超えて進展しています。そして、今や生成AIが時代の先端を走っています。

現在、日本社会では様々な人材が求められていますが、その中でも、進行する少子高齢化、技術革新や経済発展の鈍化などの様々な課題の解決を図るとともに、日本社会の持続的な発展を同時に進めていく担い手となる人材の必要性が叫ばれています。

教育においては、コロナ禍以前より教育改革が進められていましたが、その中では、予測不可能な時代を生き抜いていく次世代の人材、社会課題の解決と経済発展等を同時に図る新たな価値の創造や、これまでにない産業等の起業などの中心となる人材、多様な価値観や文化の中で日本社会の創り手となる人材などの育成について、その基盤となる学校教育はどのような姿を目指すのかが示されています。

そこで登場した学びの在り方に「アクティブラーニング」があります。その後、教育用語の中では「主体的・対話的で深い学び」という言葉に集約されました。これまでの教育改革においては、教育の目標や習得する内容について示されていたましたが、今回、学び在り方(方法等)について示したことは画期的なことでした。

これまでの学びの在り方といえば、教師が教壇に立ち、過去の知識や文化等を一方的にチョークと黒板のみで授業する講義型の授業でしたが、これからの学びの在り方は、子どもたち自らが課題を発見し、その解決へ向けて、個別に分析・整理したり、また多様な人々と協働して学んだりする「探究的な学び」であり、この学びを授業へ組み込むことを求めています。さらに教育活動においては、その学びが「主体的・対話的で深い学び」となるよう指導等の工夫・改善も求められたところです。

一方で、これらの学びとともに、個々の生徒の持つ能力を、個々の学習の状況に合わせながら、その能力を最大限に引き出す個別最適化な学びについても、ICT機器等を活用することで実現しようとしています。このような学びが、まさに「21世紀型学校教育」の学びといっていいでしょう。これを実現することが、次の時代を生き抜き、新たな社会を創造していく人材に必要とされる資質や能力の育成につながるとして強く推進されています。

宮崎学園中学校・高等学校では、生徒一人ひとりの夢や進路実現を見据えながら、生徒個々が次の時代を力強く生き抜き、社会を創り上げていく中心的人材となるための教育活動をこれまで以上に進めていくこととしています。

そのためには、生徒が自ら学ぶ姿勢を培い、生徒が個々の状況に合わせて学ぶことのできる環境や時間を確保するとともに、教師においては、一人ひとりの生徒の学習に寄り添い、生徒自らの考え方を大切にしながら、適切な指針を示すことができるよう授業、学習指導、進路指導等の在り方について、教職員全体で研鑽を重ねているところです。

令和5年11月28日  校長  押方 修