校長室便り_archive

校長室便り⑦

  • 2023年10月18日
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令和5年度 学校創立記念日 式典校長挨拶

 第84回目の学校創立記念日を、一部オンラインでありますが、一堂に会して、創設者の名前の残る大坪記念ホールで開催できることをうれしく思います。宮崎学園中学校・高等学校までの歴史については、この後の動画で詳しく流れますが、私の方からは簡単に説明したいと思います。

 創設者である大坪資秀先生は、昭和14年(1929年)に私財を用いて女子教育のための学校を現在の大工町に設立いたしました。もちろん、太平洋戦争以前の話です。
 終戦後、国の学校制度の変更に伴い、幾つか学校名を変えながら、昭和30年(1955年)に宮崎女子高等学校となり、「女子高」という愛称で48年間、宮崎県の女子教育の中心として、多大なる貢献をしてきました。
 平成15年(2003年)男女共学となり、宮崎学園高等学校という名称に変わり、さらに、平成21年(2009年)に中学校を開校し、現在の宮崎学園中学校・高等学校となりました。今年度で、高校は20年目、中学校は14年目を迎えています。
 84年という長きにわたり、本校の卒業生は4万人を大きく上回り、様々な分野で活躍されていますし、宮崎学園は宮崎の地に深く根ざし、地域に愛され、地域になくてはならない学校となっています。
 生徒、そして教職員の皆さん。私たちは、この宮崎学園で学び教える者として、先人の築いてこられた伝統をしっかりと受け継ぎ、さらなる発展に繋いでいくことを創立記念日のお祝いとともに、心に深く刻みたいと思っています。

 さて、創立記念日に当たり、改めて、「建学の精神」について、礼法指導のテキストから紐解いてみます。(ちょっと難しい言葉も出てきますが、中学生も一緒に考えてください。)

 「建学の精神」とは、単なるスローガンではなく、創設者の永遠なる思いを学校生活全体に滲みこませたものです。それは、生徒の生活の意識の根底においてしっかりした基礎となるものであり、生徒が創り上げるこれからの人生の土台となるもの、そして社会人としての基本姿勢に影響をあたえるものとしています。
 宮崎学園には、「建学の精神」として、二つの言葉があります。生徒の皆さんは、「またかぁ」と思うかもしれませんが、今一度、その精神を生徒の皆さんと一緒に考えてみましょう。それぞれの意義が述べられています。私は自分事として、思いをいろいろと巡らしてみました。

 まず、「礼節」について、「礼節」の根本の意味として、次のように述べています。

1 礼節は平和で幸福な社会生活を成立させる根本条件である。
  (今、日本や世界が平和で幸福な社会といえるだろうか?また、私は、平和で幸福な社会を目指そうとして行動しているだろうか?)と自分自身に問いかけてみました。

2 礼節は自己を重んずるとともに、他を重んずる精神の現れである。
  (私は、自分のことばかり考えて、他者を思いやることを忘れていないだろうか?)
3 礼節の精神の形に現れたものを作法といい、その国、団体によって承認にされた形がある。
  (私は、様々な、人それぞれの意見を受け入れることなく、自分の世界だけで判断していないだろうか?)

4 人間の気品は礼節の裏打ちによって、典雅な光を放つものである。
  ※典雅:正しく上品なこと。整っていてみやびやかなこと。
  (私は、常識に反したり、人の嫌がるような言動はしていないだろうか?)

 つづいて、「勤労」の根本の意味として、次のように述べています。

1 勤労は自分の利益のためのみではなく、それを通じて他者の役に立ち、その幸福に奉仕する。
  (私は、他者が必死に学習や仕事などに集中しているときに、自分の欲のために行動していないだろうか?)

2 勤労は他人の喜びを自己の喜びとする感受性、なびに、協力・連帯感の形成に役に立ち、役割意識の明確化の中で、自立志向の態度の形成を促す。
  (私は、お互いのよさを認めたり、困っている友を支えたりしながら、自分で自立した生活を送っているのだろうか?)

3 勤労こそ心身の健康の源であるとともに、幸福の端緒である。
  ※端緒:事のはじまり。糸口。手がかり。
  (私は、他者のために働き、そのことに喜びを感じる時はあるのだろうか?)
 と「礼節・勤労」を紐解きながら多くのことを自分自身に問いかけることができました。

 生徒の皆さん。今から84年前、創設者である大坪資秀先生は、このようなことを考え、思い、本学を創りました。そして、現在でも、今、在籍している生徒、君たちに、教職員に、「建学の精神」として、その思いや願いを託しています。

 生徒の皆さん。今、話した「建学の精神」である「礼節・勤労」を少しでも日頃の生活の中で、発揮しているならば、さらに充実させてほしいと思います。しかし、まだ、行動として実践していないとしたならば、今日から実践して欲しいと思います。

 私たちが、これまでの卒業生や教職員の思いや願いを、私も含めて、今一度自分自身と照らし合わせて、言葉としてだけではなく、行動として引き継いでいく中で、「ミヤガクの伝統」がより固く永久なものになっていくものと考えます。
以上で、令和5年度、学校創立記念日の校長挨拶とします。

令和5年10月12日  宮崎学園中学校・高等学校  校長  押方 修
  (大坪記念ホールにて)